BIOTOP PEOPLE

No.36 RYO YAMAGUCHI

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No.36 RYO YAMAGUCHI

2011年春夏にファッションブランドAllege.(アレッジ)を立ち上げ、
その後は幅広い人脈を生かして、食やライフスタイルにまつわる本を制作。
ジャンルを超えて活躍する山口亮さんが、2021年春夏より新ブランド
Ernie Palo(アーニー パロ)をスタートさせる。
仕事でもプライベートでも親しいBIOTOPディレクターの迫村が
山口さんにAllege.と新ブランドErnie Paloについてお話をうかがった。

デザインのインスピレーションは、毎日の生活の中から見つけるそう。「今は自由に旅ができないけれど想像することはできるし、人との会話がヒントになったり、生地を見に行って何か思いついたり。普段の生活の中で気づいたことに従っていますね」

山口 初めてお会いしたのは2012年秋冬Allege.の展示会でしたよね。

迫村 知り合いに「友達がブランドやっているから見に行ってみて」と勧められてAllege.を知りました。その頃僕はまだ駆け出しのバイヤーだったから、一人でいろいろなことをやらなくちゃいけなくて、なかなか新しいブランドの開拓ができなかったんですが、たまたま時間が空いて「そういえばこのへんで展示会やっていたっけ」と思い出して行ってみたんです。

山口 僕、けっこうしつこくお誘いの電話をしていましたからね(笑)。

迫村 そうだったっけ(笑)。フレンズデーで友達がたくさんいたのに、僕に丁寧に接客してくれていい人だなと思ったのは覚えています(笑)。初めてAllege.の服を見た時、シンプルでクリーンでとても新鮮だった。その頃はもっとアメリカナイズされた服が多かったと思うんですが、Allege.の清潔感はA.P.C.みたいでいいなと思いました、いいなと感動したわりには、オーダーシート忘れて帰ったけど(笑)。

山口 そうそう。あわてて追いかけましたもん。でも追いつけず、あとで送りましたけどね。

迫村 そこからですね、亮くんとの付き合いは。共通の知り合いも何人かいたので、一緒に食事に行ったりするようになって距離が縮まった。BIOTOPでも継続的に取り扱いさせていただいているし、一緒にイベントを企画したりもしています。

山口 コロナ前はよく飲みにもご一緒させていただいて、けっこう遅くまで話し込んでいましたよね。

迫村 お互い1軒だけでさっくり帰るタイプじゃないからね(笑)。でも亮くんと飲みながら、気になるブランドやショップ、生地の話や、音楽、アートの情報など、本当にいろいろな話をするよね。それに僕も亮くんも食べることが好きだから、美味しい店を教え合ったり、次はどこに行こうか考えるのも楽しい。しかしなんといっても亮くんには、面白い人をたくさん紹介してもらっています。BIOTOP3階の『LIKE』の原さんだって、亮くんの紹介で知り合ったし。人脈が広いのはやはり亮くんのキャラがいいからだと思う。

山口 フォトグラファーだと池谷陸くんや野田祐一郎くんも紹介しましたけど、そのあと仕事に繋げて形にしてくれるのがうれしい。野田くんが撮影したBIOTOPのシーズンビジュアルが、福岡店に飾られているのを見た時は感動しましたね。

コロナ禍だが、今スタートすることに迷いはなかったという。「僕は今38歳ですが、人生プランでは38歳くらいで新しいブランドを始めて、40歳くらいでブランドが認知されたらいいなと思っていたので、いいタイミングで始められたと思います。人生プランだと、40代では東京と地方での二拠点生活が目標です」

迫村 Allege.の最初の頃のイメージって、大きめの白シャツにネイビーのスラックス、寒ければグレーのカーディガンを羽織るというような、シンプルだけど素材やシルエットの良さを感じさせるスタイルだった。そこからいい意味でどんどん変わっていった気がする。少しエッジの利いたものも出てきて、スタイリングやルックの雰囲気も変わっていって、ブランドもしだいに大きくなってファンも増えて可能性が広がっていった。たぶん亮くんのなかで引き出しが増えているんだろうなと思っていました。Allege.とは別のブランドをやってみたいという話は少し前から聞いていたので、どんなブランドになるんだろうと楽しみにしていたけど「Ernie Palo」は期待以上でした。

山口 自分も、周りの親しい人たちも少しずつ年齢を重ねてきて、子どもも生まれたりして、Allege.とは違うブランドで今の自分が表現できたらいいなと思ったんです。もちろんがんばってひねり出すことには変わりないんですが、シルエットがどうとか技法的なところで大きく変えるわけではなく、もっと自然に、自分らしいものができたらいいなと。

「Allege.は固定ファンもいるしイメージも定着しているから、その期待にますます答えていってほしいし、Ernie Paloは新しいことに挑戦してAllege.とはまた違う内容の商品を生み出していってほしい」(迫村)。「ブランドイメージの差別化はしたいけれど、それを意識しすぎて自分らしさを失わないようにしたい」(山口さん)。

迫村 その新ブランドErnie Palo(アーニー パロ)とAllege.は全然違うけれど、美意識みたいな軸は通じていて、ああ、やっぱり亮くんの服だなと感じさせます。でもAllege.にはなかった土臭さとか、少しエスニックなテイストが新しい。

山口 そういったディテールをすごくフレッシュに感じて、やってみたらどうなるんだろう? と自分でも興味があったので、トライアルでエスニックなプリントや刺繍、レースを使ってみたんです。レースを使うのは初めてだったので、ぜひ注目していただきたいですね。あとシェルタックのシャツもおすすめです。

迫村 Ernie Paloはこれから自由にいろいろなことにトライできそうだから、Allege.とはまた違ったものが出てくるんじゃないかと期待しています。ところで、同時に2つブランドを手がけると、具体的にどう分けて考えるの? 「できたー!さてこれはAllege.にしようかな?それともErnie Paloかな?」みたいな(笑)?

山口 それはないですね(笑)。

迫村 じゃあ、「今日はAllege.の日」とか「Ernie Paloの日」とか分ける?

山口 ああ、そっちに近いですかね。もちろん生地を見て「これはこっちのブランドがいいな」と思ったりはします。そういった2ブランドの線引きは自分の中にあるんですが、基本的にはどちらかのブランドが終わってからもうひとつのブランドのことを考えるようにしています。行ったり来たりはしないですね。今はついついフレッシュなので新しいブランドのことを考えがちですが(笑)。

Ernie Paloの2021春夏コレクションより。右・デニムブルゾン¥43,000 左・リネンリブニット¥35,000

迫村 実は新しいブランド名が「Ernie Palo」だと聞いたとき、最初「え?」ってあまりピンとこなかった(笑)。でも今はすっかり違和感ないですが。この名前はどうやって決めたんですか?

山口 まず「Allege.」が1ワードだから、こんどは2ワードにしたいと思ったんです。で、昔から「E」という文字がデザイン的にいいなと思っていて、ヨーロッパによくいる「Ethan(イーサン)」という名前が気になっていたので頭文字は「E」にしようと。そこから「Ernie」が浮かんだんです。で、「Palo」は、ジア・コッポラ監督の映画『パロアルト・ストーリー』から取りました。ソフィア・コッポラが好きなのでAllege.の最初の頃にはソフィアっぽい写真でルック撮ったりしていたのですが、だったらこんどはソフィアの姪のジア・コッポラに関係したものにしようと。イニシャルが「EP」になるから、アナログレコードっぽくていいなとも思ったり。これから「アーニー」って呼ばれるのか「パロ」って呼ばれるのかどっちなんだろう(笑)。

迫村 そんなストーリーがあったとは(笑)。あとErnie Paloでは服以外に器も手がけていますね。あれは最初からやろうと思っていたの?

山口 最初はオブジェみたいなものがいいなと思っていて、代々木上原にあるレストランAELUの丸山智博さんに相談したんです。それで、一緒に考えているうちに、長野のSTUDIO PREPAさんと一緒に何か作れたら面白そうだねという事になりガラスのオブジェを作ってもらいました。今後も定期的にリリースできたらいいなと思っています。

迫村 服のコレクションが全体的にきれいな色使いなので、その中にガラスのオブジェがなじんでいていいなと思いました。今後のブランドの成長も楽しみです。

山口 ブランドをいきなり大きく広げるよりも、目の届く範囲で丁寧に育てていきたいですね。取り扱ってくださるお店にきちんと足を運んでそのお店の方と話したいし、卸し先に依存しすぎずECなどで自分たちでもきちんと売る方法も考えていきたいし。ブランドを知ってもらって、好きになってもらって、みんなといい関係性を築いていけたらいいなと思います。

Ernie Paloの2021年春夏コレクションより。エスニック風のプリントや工夫されたディテールなど、山口さんが新たにトライした新鮮なアイテムに注目したい。

Photo/Yosuke Ejima Composition/Ayumi Machida

山口 亮

1982年福島県生まれ。Allege.、Ernie Paloデザイナー。2011年春夏、Allege.をスタート。2013年代々木上原のビストロMAISON CINQUANTECINQと共同プロジェクトレーベル「オリヴィエ(Olivier)」をスタートし、パリ在住のフォトグラファーOla Rindalによる「日常」と「食」をテーマとしたコンセプトブックを刊行。2014年からはAllege. FEMMEも展開。2021年春夏よりErnie Paloをスタート。

Interview with

迫村 岳
(BIOTOP ディレクター)

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