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BIOTOP PEOPLE

No.10 MAX SCHILLER

MAX SCHILLER
BIOTOP PEOPLE No.10 MAX SCHILLER Eytys デザイナー
独特のフォルムと色使いが特徴的で、「それどこの?」とクチコミによって
Eytysの人気はあっというまに広がった。
奇をてらっているわけではなく、オーソドックスなつくりの品のいいスニーカーは、
ベーシックな良さに、80年代生まれならではの時代観が投影されて、
男女問わず、ファッショニスタたちのウィッシュリストに急浮上中。

定番のローカット・モデル〈MOTHER CANVAS〉(¥18,000〜)に加えて、パッド入りのハイカット・モデル〈ODYSSEY SUEDE〉(¥36,000〜)も登場。宇宙をイメージしたブラックソールも。

——Eytys(エイティーズ)のスニーカーは、日本でも人気沸騰中です。日本にいらしたのは初めてですか?

もう5回目になります。居酒屋とか寿司とかも大好きなんです。昨日はひとりで寿司店に行って、英語のメニューを見ないで、アジ、ホタテ、大トロなどをカタコトの日本語で注文できて、日本での新たな楽しみが増えました。

——BIOTOPにいらしたことは?

今回で3回目。日本には素晴らしいショップがたくさんありますが、いざ自分で買い物しようと思うとちょうどいいショップがなかったりします。でもBIOTOPに来ると、必ず何か買ってしまうんです。いかにも、ではなくて、さりげなくいい物が並んでいるところがいいですね。

——やはり一年中スニーカーですか?

365日のうち363日はスニーカーですね(笑)。あとの2日はビルケンシュトック。

——個人的に何足持っていますか?

数えきれない…。部屋に収まりきらないです。服にあわせるというよりは、ドアの近くに置いてあるものを直感的に選んで履く、という毎日です。

——スニーカー好きが高じて作るようになった?

そうですね。小さい頃から好きで、ものすごい数のスニーカーを履きつぶしてきました。それで大人になってみて、ふと自分が履きたいと思うスニーカー、ガールフレンドに履いてもらいたいと思うスニーカーがないことに気づいた。だったら作ろうと思ったのがスタートですね。

BIOTOP白金台にて8月17日(日)までポップアップショップを開催中。トム・シーウェルによるアニメーション作品も放映。

——Eytysのスニーカーはとてもユニークです。独特のフォルムやラバーソールの付いた厚底、インソールにはコルク、長いシューレース(靴ひも)など、いまのデザインにどうやって行き着いたのですか?

僕はリサーチが大好きなんです。それはスニーカーについても同じで、まず’40-’60年代は厚底のスニーカーが主流で、70年代にはvansでも厚底のスニーカーを出していました。これらはe-bayで探して買えるのですが、毎回手に入れるのがたいへん。だったら自分で好きなスニーカーを作ろうと思いました。

——インソールのコルクも足の裏になじんで気持ちいいですね。

ええ。コルクインソールは履けば履くほど足の形になじんで疲れず、通気性もあります。シューレースは、トラディショナルなシューズブランドがひもにワックスを塗って、光沢を出しつつ耐久性もよくしていますが、それをスニーカーにも応用してみました。ひもが長いのはそのほうが美しく見えるので。

——かかとに付いている紫色のループが特徴ですね。

メンズのトラディショナルなシューズって、きれいなシェイプを出すために履き口が狭いですよね、Eytysのスニーカーも美しいシェイプを意識したら狭くなりました。それで靴べらのかわりに、すべりやすい素材でかかとにフィンガーループを付けて、履きやすくなるよう工夫しました。紫色は、マーク・ロスコの絵が好きなのでそこから出てきました。

——3シーズン目となる今回の秋冬コレクションではプリントが登場しました。

1977年にNASAが打ち上げたボイジャー1号(無人宇宙探査機)がインスピレーションなんです。ボイジャー1号は、2012年には太陽圏を脱出し現在も飛行し続けているんですが、この記事をスウェーデンの新聞で読んだとき、子供のようにワクワクしてしまい、いまボイジャー1号が見ているであろう世界を、友人のロンドン在住アーティスト、トム・シーウェルに頼んでアニメーション作品に仕上げてもらいました。そのグラフィックをスニーカーやシューズボックスに使用しました。

——毎回コレクションは、そういった好奇心から生まれるんですか?

はい、興味を持ったことはコレクションに反映されますが、定番も大事にしています。僕自身がそうなんですが、ショップで気になった商品を、そのときは買わなくても、やっぱりあとで気になって数日後に買いに行ったりする人がたくさんいると思うんです。だからeytysは定番を中心にして、そこにそのシーズン興味持った要素をプラスするようにしています。お客様がいつ来ても安心なように。

——映画や音楽、本など、どんな作品に興味がありますか?

壮大な質問ですね…(笑)。語りきれないくらいいっぱいある。いつもノスタルジックから未来まで、たえず興味を持っているので、何かひとつ挙げるのは難しい。たったいまは、スウェーデンの17歳のラッパーYung Leanの音楽を聴きながら、Agnes Martinの作品を見るのが気に入っています。明日同じ質問されたら、答えは違うと思いますけどね。

トム・シーウェルのアニメーションをプリントにした〈ODYSSEY NEBULA〉¥27,000

——次にコラボレートしたいアーティストはいますか?

Sasha Kurmazというウクライナ人のアーティストがいるんですが、アートを通じて、ロシアの同性愛者に対する差別に反対する運動をしているんです。Sashaの絵や写真などの作品にとても共感しました。ただデザインを靴に落とし込むという具体的なコラボレーションではなく、もっと柔軟な発想で、たとえば空間とかウェブサイトとかで何かいっしょにできないかと模索しています。

——そろそろショップも欲しいですね。

8月にストックホルムにショップがオープンします。アグネス・マーティンの作品から感じたことなどをベースにし、そこから今後少しずつ変化させていこうと思っています。もちろんEytysのスニーカーは全ライン揃っていますし、アーティストとコラボレートしたセラミックなども作りました。ほかにもヴィンテージのスウォッチが並んでいたり、アートブックが置いてあったり、興味あることを全部、小さなスペースに押し込みました。

——楽しみですね!もしかするとこれからはスニーカー以外も作るのでは?

たぶん。やってみたいとは思いますが、僕は慎重だし完璧主義だから、いまはスニーカーに集中して、他のことはゆっくり進めていきたい。でもショップがスタートしたら、きっといろいろやりたいことが出てくるような気がしています。

アニメーションがプリントされたボックスがかわいい。全モデルにシューズバッグと、ソールとアッパーの色にあう2色のシューレースが付いている。〈MOTHER CANVAS〉¥18,000

BIOTOP白金台のショーウィンドーでもアニメーションを放映中。

Photo / Ittoku Kawasaki Composition / Ayumi Machida

Eytys

スウェーデン・ストックホルム発のユニセックス・スニーカーブランド。10代でストリートカルチャーを知り、早くからインターネットとともに育った1980年代生まれ、いわゆる「ジェネレーションY」のマックスとジョナサンが手がけている

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