東京と福岡の2拠点で生活しているという清永さん。「空港も駅も近くてアクセスがいい、街がコンパクトなので移動がラク、物価が安い、食べ物がおいしい、海もあれば山もある、南国じゃないのに空気が適度にゆるい、と福岡の長所を次々と挙げてくれた。
迫村 4月26日に、ようやく「BIOTOP FUKUOKA」がオープンします。構想段階からいろいろアドバイスをいただき、ありがとうございました。清永さんは福岡の街のことや人のこと、本当によくご存じですよね。
迫村 清永さんが福岡に作った「KIYONAGA&CO.」も、とても居心地のよい素敵なショップでした。
迫村 2年くらい前だったか、僕も別のルートからあの物件の話が来ていて、そしたら清永さんからも「いい物件が出たから1度見に来たら?」とお誘いいただいた。それでちょうど「KIYONAGA&CO.」でのポップアップの準備がてら福岡に行ったときに周辺環境含めて案内してもらったんですよね。いつもはタクシーで移動する清永さんが、めずらしく「歩いて回ろうぜ」と言って30〜40分ほど一緒に散歩しましたね。ここはこういうエリアで、こういう人が住んでいて、こういう時間帯はこういう人の流れで……とか丁寧な解説付きで。
迫村 ですね(笑)。ポップアップの時にお会いした地元の方々も、口をそろえて「あそこはいい」と言っていて。清永さんも「何でも手伝うよ」と言ってくださったこともあり、本気で出店を考えようと思いました。
今後福岡でさまざまなイベントを仕掛けていきたいと盛り上がる2人。「福岡だけでなく九州全体に興味を広げ、面白いものを見つけて東京や大阪のBIOTOPで紹介してほしい」と清永さん。
清永 白金台のBIOTOPがオープンしたのが2010年で、大阪・堀江の2店舗目が2014年、そして今回の福岡は3店舗目。とてもゆっくりと大切に育てているからこそ、ブランディング的にも最高の環境が必要だと思った。
清永 什器や家具に関しては、お金をかけてビルドアップしていくべきだと僕は考えています。昔の名店って、いいアートやいい家具がさりげなく置いてあって、店から学ぶことが多かったでしょう? そういう部分でお客さんをもてなすことも大事だと思います。
清永 渡辺さんは数年前に東京から福岡に移住した方。だから外からの目線で福岡のいいところを再発見してくれるんじゃないかと思ったんです。もともとアパレルにいらしたからファッションマインドもお持ちだし、一体どんなメニューを考えるんだろうととても興味がわいた。いろいろな意味で面白いことになりそうだなと。
1階と3階はカフェ&レストラン「ラムジオ」、2階はファッション&ライフスタイル、ボタニカルショップの「ビオトープ ナーセリーズ」が入る。1階のカフェで提供されるお茶やスイーツはテイクアウト可能。
清永 あの場所は東京でいったら、三軒茶屋あたりに住んでいるファッションピープルが、自転車で渋谷に通勤する途中に通りかかる、みたいなところなんです。だから朝お茶ができたり、パンが買えたりしたらいいなと。福岡はスイーツが食べられるところが少ないので、それも楽しみですね。
清永 海外出張によく行く人たちがみんな言っているんだけど、最近買って帰りたいものがないよねって。ネットでなんでも買えるしね。出張で福岡行ったついでに買って帰ろうと思える、ファッション・ヴィクティムをくすぐる特別なものがあったらいいと思います。
「ずっと福岡を見てきて、最近変わったなと思うことは?」(迫村)「移住組も増えて風通しがよくなり、タテ社会がなくなって、地元の若い人が自由に仕事をしているような気がします」(清永さん)
迫村 清永さんはよくご自分のことを“ボランチ”とおっしゃいますが、本当にそう。いつもいいパスを出してくれて、あとはうまくやれよ、という(笑)。福岡にたくさん知り合いをお持ちですけれど、昔からつながっていたんですか?それとも住んでからですか?
迫村 地元を盛り上げる意識みたいなものが強いですよね。たとえば大分トリニータをずっとサポートしていたり。
迫村 「BIOTOP FUKUOKA」もいずれ店の中だけではなく、地元を巻き込んでイベントができたらいいと考えています。
迫村 福岡はエネルギッシュなので、今までとまったく違う発想で地元と関わったり、ユニークなイベントができそうな気がしています。福岡にベースができたので、そこからさらに九州全体に目を向けて、さまざまな職人技を探したりもしてみたいですね。
スマホで地図を出して、「BIOTOP FUKUOKA」の場所や周囲の施設、そして福岡市が進めている「セントラルパーク構想」について説明してくれた。
1967 年大分県生まれ。98 年「SOPH.」を (2002 年に SOPHNET. へ改名 )、翌 99 年に「F.C.Real Bristol」を立ち上げる。 2008 年には uniform experiment をスタートするなどチャレンジングな戦略でシーンを牽引し続けている。 福岡市・赤坂に、自身の名を冠した「KIYONAGA&CO.」を 2017 年 4 月 ~2019 年 4 月の 2 年間展開した。
迫村 岳
(BIOTOP ディレクター)
BIOTOP PEOPLE
NO.42
TAKESHI MORI
BIOTOP PEOPLE
NO.41
TAKAYUKI FUJII
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NO.40
SHOTA TAMADA