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BIOTOP PEOPLE

No.43 GABRIELA COLL

GABRIELA COLL
BIOTOP PEOPLE No.43 GABRIELA COLL Designer
「ガブリエラ コール ガーメンツ」は、素材と生産過程を大切にし、
国内で100%ハンドメイドによるものづくりを続けるスペインのブランド。
コレクションは「シリーズ」名で呼ばれ、
その「シリーズ」は永遠にワードローブとして存続するというコンセプトを打ち出している。
2022年秋冬コレクションでも毎年好評のBIOTOPとの別注アイテムが実現。
BIOTOP FUKUOKAではポップアップショップも開催される。
今回、バルセロナのスタジオと東京をオンラインでつないで、
デザイナーのガブリエラ・コールとBIOTOPバイヤー曽根英理菜の対談が実現した。

曽根 BIOTOPでは「ガブリエラ コール ガーメンツ」を2018年秋冬の「シリーズNo,2」からお取り扱いさせていただいています。私は最初のコレクションから拝見していますが、当初からは想像できないくらいコレクションの内容が広がっていますね。ブランドをスタートしたきっかけを教えていただけますか?

ガブリエラ 私はファインアートを学んだのですが、ファインアートとしてコンセプチュアルな創作をしながら、同時にクラフトなどのものづくりもおこなっていました。自分の中ではファインアートとガーメント(衣服)を作ることは自然なコンビネーションなので、とてもナチュラルにスタートしました。ハンドクラフトでシューズなども作っていたので、それがいつしか自然の流れでファッションに結びついていったんです。

曽根 2022年秋冬コレクションが「シリーズNo.12」になりますが、毎シーズンのテーマはどのように決めているのでしょうか?

ガブリエラ シーズンごとのテーマよりブランドとしての永続的なコンセプトが重要で、すべてのコレクションが“シリーズ”として続いていくタイムレスなものを作っていきたいと考えています。毎回イメージボードにさまざまなイメージピースを貼っていますが、それらはすべてモノクロの粗い画像でプリントアウトされていて、そこから自分のイメージを広げていきます。イメージボードに貼ったピースは、シーズンが終わったらまとめて大きな封筒に入れてスタジオに保管し、新しいコレクションに取りかかるときは、過去の封筒の中からイメージをピックアップします。どのシリーズにおいても、ブランドとして表現したいことを同じ言語で伝えていきたいと思っています。

曽根 宝物が詰まった封筒ですね。「ガブリエラ コール ガーメンツ」は、そうやってブランドとしての継続性を意識して軸を大切にしているから、ブレないものづくりができるんですね。

ガブリエラ 新しいコレクションに取りかかるときは、イメージを過去の封筒から取り出すこともあるし、新たに追加することもあります。イメージは写真とは限らずファブリックということもありますが、そのシーズンのコンセプトは全部その封筒に入っているんです。前回のコレクションだと、ニューヨークに行ったときに撮った写真をモノクロでプリントアウトしてインスピレーションにしました。

そのシーズンのために集めたイメージはすべてこの封筒の中に入っていて、新しいシーズンを始めるときはアーカイブからもピックアップするという。一番上の封筒には、最新コレクションの「シーズンNo.12」と書かれている。

曽根 「ガブリエラ コール ガーメンツ」で最初の頃から作っている、切りっぱなしで抜け感のあるデザインが個人的に大好きです。抜け感の作り方が絶妙ですね。ミニマルでクリーンなのに強烈な個性を感じるブランドの世界観は、日本人が好きなテイストだと思うのですが、ブランドとして大事にしているポイントは何ですか?

ガブリエラ ブランドの特徴や、私がデザイナーとしてやろうとしていることを理解してくださっていて本当にうれしいです。たしかに抜け感があって着やすいということは、重要なポイントの一つですね。あとはシーズンごとにテーマを変えるのではなく、シリーズとして作っているということも一つ。たとえば新しいコレクションをシリーズNo.1とかNo.2と組み合わせるとか、すべてのコレクションをタイムレスにコーディネートしてもらいたいと思っているんです。そしてもう一つ、メイド・イン・スペインということにもこだわっています。まずファブリックを選び、その素材をスペインにあるどの工場にお願いするか決め、タグもハンドクラフトで仕上げる。すべてを自分たちの手作業で行うというのも大事にしているポイントです。

イメージボードに貼るイメージはすべてモノクロ写真。さまざまなインスピレーションが並び、「ガブリエラ コール ガーメンツ」の世界観を形成していく。

曽根 この2年くらいは展示会がオンラインで行われていますが、ガブリエラ自身がスタイリングしてデザイナー本人が着て見せてくれることが、本当に贅沢な体験だと感謝しています。服と同じくらいスタイリングにも抜け感があって素敵ですが、スタイリングは服を作る前から想像しているんですか? それとも服が出来上がってから考えるんですか? それと、ルックの撮影でずっと同じモデルさんを起用されている理由も合わせて教えてください。

ガブリエラ すごく面白い質問ですね!(笑) ブランドのことをよく理解していないとこんな質問は出てこないからとてもうれしいです。じつはスタイリングについては、あまり考えていないんです。それよりも、たとえばデニムだったらこう、カシミヤだったらこうと、それぞれどんなキャラクターが着るのかイメージをふくらませます。たとえばマンガのキャラクターを使って、この人だったらこういうデニム着るんじゃない? というようにイメージを構築していくのが私たちのやり方です。モデルについては、コレクションの継続性を大切にしているので、シーズンごとにモデルを変える必要はないと考えています。同じモデルに着てもらって、同じ場所で撮影して、シリーズとしてずっとつながって見えるということが重要なのです。

フランスの漫画家メビウスによる、セリフのないマンガ『アルザック』。アルザックという名の戦士の活躍が描かれている。「こういう人ならこういうデニムを着るかも」というように、マンガもインスピレーションになるという。

曽根 とてもユニークですね。ところでBIOTOPについてはどんな印象をお持ちですか?

ガブリエラ 2回訪れたことがありますが、とにかくクオリティやストーリーを大事にしていて、一点一点こだわってそろえているのが印象的でした。「ガブリエラ コール ガーメンツ」のことも大切にしてくださっているのが伝わるから、いいリレーションシップが築けたことはとても幸運だと思っています。

曽根 「ヨー ビオトープ ランジェリー」ではデビューのときからずっとコラボレーションさせていただいていますが、「ヨー」を愛用してくださる方々に「ガブリエラ コール ガーメンツ」のファンが増えてきたと感じています。「ヨー」というインナーファッションと「ガブリエラ コール ガーメンツ」を合わせたりする日本のファッションスタイルをどう思いますか? どんな人に自分のブランドの服を着てもらいたいですか?

ガブリエラ 「ヨー」とのコラボは、(曽根)英理菜が私のブランドのことをよく理解してくれているおかげで、最初に会話したときから通じるものがあってとてもいいコラボレーションだと思っています。日本の方々はクオリティや素材について知識やこだわりがあるし、独特なセンスと美意識を持っていてスタイリングが上手。たまに自分が作った服だと気づかないようなスタイリングを見て驚くこともありますね(笑)。

曽根 「ガブリエラ コール ガーメンツ」の服はもちろん大好きですが、ガブリエラ自身のスタイルもとても素敵です。やわらかいのに芯があるということが伝わってくるので、ガブリエラのライフスタイルにもとても興味があります。

スタジオでフィッティングしている様子。シリーズとして作っているので毎回モデルを変える必要はないと、ずっと写真のマリーをルックのモデルに起用している。

ガブリエラ 私は本当に仕事が好きなので、ライフスタイル=仕事かも。それが人生で最も大切な時間でもありますね。じつはいま、メキシコに2つ目のスタジオをオープンするというプロジェクトが進んでいます。太平洋側のメキシコは、毎年バカンスでも訪れている大好きな場所。私は建築の勉強もしたことがあるので、スペースや建物を作ることにとても興味があるし、バルセロナとメキシコがスペースとして繋がりがあったら面白いのではないかと思っています。自分の人生における大きなプロジェクトって、仕事にもパーソナルにも関わってきて、結局切り離して考えることは難しいのかもしれませんね。すべては繋がっていて、それが人生に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

曽根 あとぜひ聞いてみたかったのですが、その美貌を保つ秘訣は何ですか?

ガブリエラ えー、何もしてないです(笑)。でもヨガは続けていますね。バルセロナにあるこのスタジオは、ビーチに面して広いテラスがあって、そこでチームの皆と一緒に食事をしたり、先生を招いてヨガをしたりします。いつかスタジオに遊びに来てくださいね。

曽根 ぜひ行きたいです! さて、まもなくBIOTOPで「ガブリエラ コール ガーメンツ」の2022年秋冬コレクションがスタートしますが、それに合わせてBIOTOP FUKUOKAでポップアップを開催します。昨年も今頃の時期に開催しとても好評だったので、今年は別注アイテムとしてスカートとワンピースを作っていただきました。

ガブリエラ 英理菜は私たちのコレクションのことをよく知っているので、いろいろ意見を交換しながら一緒に作ることができて、私にとっても特別なものになりました。今回の別注アイテムは「シリーズNo.5」から持ってきたイメージをアップデートさせて作りましたが、ブランドの財産をいまのお客様に新しい解釈で着てもらえるのは、本当に楽しみです。

「ガブリエラ コール ガーメンツ」のBIOTOP別注アイテム。 スカート 44,000円 (税込)

曽根 そう言っていただけてすごくうれしいです。今後はブランドをどう発展させていくのかビジョンを聞かせていただけますか?

ガブリエラ ブランド自体を大きくすることよりも、ブランドが持つ言葉、伝えたいことがもっと豊かになっていったらいいなと思っています。いまはたった5人の小さなチームですが、自分たちで素材や工場を選んで、すべてを自分たちの手で進めるというやり方にこだわりつつ、どう成長していけるかを考えています。メキシコのプロジェクトなど楽しみなこともありますが、やはり自分たちの基本を忘れずに、「ガブリエラ コール ガーメント」の言葉をもっと広く伝えていけたらいいなと思います。

曽根 こだわりを大切にしつつ、ビジョンをゆっくり温めている感じがコレクションにも反映されているし、そこがすごくガブリエラらしいですね。すてきなブランドに出会えて本当に幸せです。

●「ガブリエラ コール ガーメンツ」POP UP SHOP INFORMATION
期間:8月6日(土)〜8月21日(日)
場所:BIOTOP FUKUOKA

Composition / AYUMI MACHIDA

ガブリエラ・コール
Gabriela Coll

スペイン生まれ。「ガブリエラ コール ガーメンツ」デザイナー。「ガブリエラ コール ガーメンツ」は2016年にスタート。ファブリックとマニファクチュアにこだわり、すべてのアイテムは自社のスタジオと地元の工場で作られている。エターナルなワードローブを目指して“シリーズ”で発表され、2022年秋冬でシリーズはNo.12となる。

Interview with

曽根 英理菜
Erina Sone

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