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BIOTOP PEOPLE

No.24 Raf Simons

Raf Simons
BIOTOP PEOPLE No.24 Raf Simons

1995年にスタートした自身のブランド「ラフ シモンズ」に加え、
2016年には「カルバン クライン」のチーフクリエイティブオフィサーに 就任。
2017年秋冬よりコレクションを手がけるファッション界のスーパースター、
ラフ・シモンズ氏が、BIOTOPに初めて立ち寄った。
東京のこと、NYのこと、服のこと、ブランドのこと……
長年のファンであるディレクター迫村の質問に、終始笑顔で答えてくれた。

来日は2年ぶりというラフ・シモンズ氏。今回はたった5日間で東京のみ。中3日というハードスケジュールで、すぐNYに帰っていった。

迫村(以下S) きょうはBIOTOPにいらしてくださってありがとうございます!ぜひショップの印象をお聞かせください。

ラフ(以下R) とても好きですね。もっとじっくり見たいですが、ぱっと見ただけでも店のコンセプトは伝わってきます。このカフェ(3Fのアーヴィングプレイス)もいい雰囲気で、思わず写真を撮りたくなる(笑)。壁の感じとか、天井とか、なんだかビッグサーを彷彿とさせますね。カリフォルニアの海を見下ろす山側のエリア、ビッグサーの森の中には、こんな雰囲気のヴィンテージライクな家がたくさんあるんです。

S BIOTOPは森をイメージして作ったので、それはとてもうれしいですね。庭にはツリーハウスもあるんですよ。

R 本当だ!中に入れるの?すごいね!東京にはこんな風に、居心地いいカフェを併設したブティックがたくさんあって、すごくいいなと思います。ヨーロッパのセレクトショップは、ほとんどブティックだけだから。ここのコーヒーもおいしいですね!

S それはよかったです(笑)。日本は何回目ですか?

R 15回目くらい……?いや、もっとかな。1995年に「ラフ シモンズ」をスタートさせたあと6〜7年は、毎年必ず1回は来ていました。

S 東京で好きな場所はありますか?

R たくさんありますが、特に原宿が気に入っています。エネルギーにあふれていて、ストリートを歩きながら行き交う人々を見ているだけで楽しい。東京の街には、新しいものと古いもの、ファッションとファッションでないもの、ヴィンテージとヴィンテージでないもの、スポーティとクラシックなものなど、相反するものがうまく混ざり合っていて、とても興味深いです。

S 今回の滞在では、仕事以外の時間は持てそうですか?

R 今回日本に来た一番の目的は、「ラフ シモンズ」や「カルバン クライン」を取り扱ってくださっているショップを見て回ることです。ブランドに関わっている人々にも会いたかったし。あとは、ウールマークとの取り組みで、ドーバー ストリート マーケット ギンザでのイベントもありました。でも5日間の滞在で、「ラフ シモンズ」で8軒、「カルバン クライン」で6軒くらい回るので、あまり自由な時間はないですね。

S 何かいい買い物はできましたか?

R それはもちろん!たくさん買いすぎて、船で送らなきゃいけないくらい(笑)。ニットやコート、そしてヴィンテージの服も。東京はヴィンテージの服を買うのに最高の街!とにかくセレクションが豊富ですね。

映画やアート、本と同じように音楽も好きだと語るラフ。特に南方の音楽が好きだそう。

S 今はどこに住んでいらっしゃるのですか?

R NYです。「カルバン クライン」を手がけるようになって最初の1年半くらいは、忙しくて旅に行くこともできず、「ラフ シモンズ」のスタッフがアントワープからNYに来て打ち合わせをしていました。最近はようやく落ち着いてきて、NYをあちこち見て回れるようになりました。

S どの辺りがおすすめですか?

R チェルシーとかソーホーのストリートを歩くのが楽しいです。あとはメトロポリタン美術館がとても好き。行くたびに新しい発見があります。エジプトやアフリカのアートもあれば、個性的なモダンアートもあり、インスピレーションに溢れています。

S いま2つのブランドのデザイナーをなさっていてものすごく忙しいと思うんですが、一体いつ、どんな時にアイデアを思いつくのですか?

R 特に決まってなくて、いつも違うシチュエーションですね。ただ、絶対に朝ではないし、オフィスでデスクに向かっている時でもない。ストリートを歩いている時や、車に乗っている時とかですね。夜に何かを思いつくことが多いかもしれません。

S 2018年春夏の「ラフ シモンズ」のショーも素晴らしかったです。映画『ブレードランナー』のイメージが幻想的に表現されていました。

R 上海、カンボジア、チェンマイ……とアジアを旅している時にインスピレーションを感じました。NYや東京のストリートからも。僕が心を奪われるのは、アートだったり、本だったり、その時々によって違うのですが、今回は映画だった。何かに心を奪われるって素敵なことだと思いませんか?アートでも本でも映画でも、素晴らしい作品を見ると、その作家に対してのリスペクトをコレクションで表現したいと思うんです。

高校生の頃からずっとラフのファンという迫村。NYのショーも欠かさず観ている。

S わかります!何かに心を奪われるのってとても幸福な体験ですよね。僕の場合は、「ラフ シモンズ」の服です。高校生くらいの頃に出会って感銘を受けて、20年以上ずっと着ています。

R ありがとう!とてもうれしいです。

S いまも、高校生から40、50代まで、幅広い年代の方に愛されている
ことについて、どのように感じますか?

R 光栄なことだと思います。さまざまな年代の方が着こなしているのを見ることができるのは、素敵な経験。支えられているなと感じます。そういえば、22年前、「ラフ シモンズ」の最初のお客様は日本人でした。最初のシーズン、7件のクライアントが買い付けてくれましたが、そのうち6件は日本の会社でした。

S 強いつながりを感じますね。ぜひ近いうちにまた東京にいらしてください。案内したい場所がたくさんあります。

R それは楽しみです。僕も行きたいところがたくさん。前に何度か訪れた京都にまた行きたいし、直島にも行ってみたい。買い物ももっともっとしたいしね!(笑)

〈ANY WAY OUT OF THIS NIGHTMARE?〉ショートボンバージャケット¥144,000/ラフ シモンズ

トップス¥45,000 スカート¥140,000 ブルゾン¥529,000/以上カルバン・クライン205W39NYC

Photo / Yosuke Ejima  Composition / Ayumi Machida

Raf Simons

ラフ・シモンズ●1968年ベルギー生まれ。大学で工業デザインを学んだ後、インテリア・デザイナーとしてキャリアをスタート。やがてマルタンマルジェラのコレクションに影響を受けて、ファッション・デザイナーに転向。1995年、自分の名前を冠した「ラフ シモンズ」をスタート。芸術性の高さとコンテンポラリーな感覚をあわせもったデザインは、世界中に多くのファンを持つ。「ラフ・シモンズ」のデザイナーを務めながら、「ジル・サンダー」「クリスチャン ディオール」のアーティスティック・ディレクターを経て、2016年にカルバン クラインのチーフクリエイティブオフィサーに就任。
画像:「ラフ・シモンズ」2017-18年秋冬コレクションより

Interview with

迫村 岳
(BIOTOP ディレクター)

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