BIOTOP PEOPLE

No.14 Kimberly Wesson 1.61(ワンポイントシックスワン)デザイナー

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No.14 Kimberly Wesson 1.61(ワンポイントシックスワン)デザイナー

ユニフォームがベースで、トレンドにとらわれずシンプルなルック。
それだけ聞くとノームコアのようだが、
じっさいはシルエットやバランス、上質な素材、ニュアンスあるダークカラー、
そしてジェンダーレスな魅力…と、存在感たっぷりな今の気分の日常着。
ノームコアのその先を感じさせる、話題の1.61のデザイナーが初来日した。

アメリカ南部アラバマ生まれ。幼い頃から音楽が大好きで、訪れたマンチェスターの雰囲気や、イアン・カーティスの音楽とスタイルに影響を受けたという。

迫村(以下S) 日本にいらしたのは何回目ですか?

Kimberly(以下K) 初めてなんです。ずっと来たかったのでうれしくて。日本語は「こんにちは」と「ありがとう」しか知らないけれど、想像していた通りすごくエキサイティングです。日本には伝統的な慣習がたくさんあるとは知っていましたが、私が生まれたアラバマ州も同じように伝統が多く残っている土地なので、とても親しみを覚えています。

S NYで行われる展示会では慌ただしくて話せないので、きょうはゆっくりお会いできてうれしいです。1.61を初めて見たとき、うわー、なんてかっこいいんだろうと思いました。いますごく注目されていますが、ブランドを立ち上げる前は何をしていたんですか?

K いつかコレクションを発表することをずっと夢見ていました。私はとても遅咲きで、28歳まで故郷のアラバマにいたんです。大学では歴史や演劇を学び、卒業したあとはいろいろな仕事を経験しました。なかでもショップで働いた経験は、マーケットが何を求めているか、消費者はどう考えているかなどを現場で知ることができて、勉強になりましたね。

S それでブランドを立ち上げるためNYへ?

K アラバマを出るときにはNYへ行く予定だったのですが、その前にバージニアに数年、北イングランドのマンチェスターに2年、そのあとLAに少し。ずいぶん遠回りをしてNYに辿りつきました。でも、マンチェスターではブランドのインスピレーションとなるアイデアをたくさんもらったし、旅をしたことで、NYで自分が何をするべきかを見つけられた気がします。

「NYで初めて1.61を見たとき、何てかっこいい服なんだろうと思った」と迫村。「初めてBIOTOPを訪れてみて、ビューティフルで驚いた。一緒に仕事できてうれしいです」とキンバリー。

S ファーストコレクションを発表したときの反応はどうでしたか?

K 予想以上でした!私が何をしたいのか、みんながとても深いところまで理解してくれて感動しました。

S 僕のイメージでは、1.61は何といってもパンツが印象的。特にきょうキンバリーさんも穿いているサルエルっぽいパンツはアイコニックですね。やはりパンツを軸にしているんですか?

K その通りです。ファーストコレクションからずっと、パンツ中心です。パンツはふつう、最初にピックアップするアイテムじゃないから難しいとはわかっていましたが、絶対に必要とされているアイテムだと信じていたので、どうしてもやりたかったんです。1.61は‘ユニフォーム’をコンセプトにしていますが、ユニフォームでありながら、着心地がよくて、デニムにかわるアイテムとして提案したいと思い、最初のシーズンでまずパンツを6型とシャツを1型発表しました。

S ブランド名になっている‘1.61’って黄金比率ですよね?

K はい。興味深い数字だし、誰もブランド名として使っていないし、面白いと思いました。何よりも、私はいつも完璧なバランスに憧れているので、コンセプトとしてもぴったりだと。服はもちろんですが、すべてにおいてバランス、プロポーションは大切だと考えているので。

カタログはモノクロ写真の合間にカラーが挿入される構成。クールで美しいビジュアルに1.61の世界観が垣間見える。

S  BIOTOPではメンズコーナーに置いてあるんですが、女性も買ってくれるんです。ユニセックスというのも、最初に決めたコンセプトなんですか?

K それはうれしいですね。最初はレディスとして着る人が多かったけれど、だんだんメンズも増えてきて、いまはちょうど半々くらい。期待通りなので、このまま男性にも女性にも着てもらえたらうれしい。

S 素材がすごくいいですよね。色の出し方、洗った風合いも含めて。

K まず素材を考えますね。世界でもっとも美しい、イタリアと日本の生地を使います。一番大事にしているのは、とにかく着心地と実用性。ユニフォームとして毎日着てほしいので、コットン、それから丈夫なキャンバス地を探します。色はパントーンからは選ばず、すべてオリジナルカラー。マンチェスターの空の色とか、インダストリアルな風景といったイメージを表現したいので、作り出す色はすべて世界にひとつしかない色なんです。

S マンチェスターにいらしたんですよね。JOY DIVISIONが好きだとか?

K はい、マンチェスターという工業都市の景色、そこを舞台としたポストパンクという音楽シーンに影響を受けています。特にイアン・カーティスの音楽スタイルや彼の言葉は、1.61にとって力強いインスピレーションになっているんです。

S NYで発表された今シーズンのショーも、ファクトリーが舞台でした。

K やはりマンチェスターのイメージとポストパンクの音楽はビジュアル・インスピレーションに欠かせないので、ファクトリーとか倉庫とかに惹かれるんです。今回はモデルのFrejaがクールに着こなしてくれました。

トップス¥51,840

S 故郷のアラバマはクリエーションに影響していますか?

K もちろん、いい意味でも、悪い意味でも(笑)。アラバマはコットンの生産地なので、コットンに対するこだわりは何か関係があるかもしれない。そして育った環境はワーキングクラスだから、ワーキングウェアがどういうものかよくわかっているつもりで、それらは無意識にコレクションに反映されていると思います。

S 服を作る以外に趣味はありますか?

K やはり音楽を聴くのが大好き。時間があればレコード店に行って、古いレコードを探していますね。音楽が好きなのはきっと母の影響です。家にテレビがなく、いつも母が「何か好きなレコードかけていい」というので、自分で選んでかけていました。いまでもレコードを選んでかけるという行為が大好き。

S 日本での予定は?

K 日本は歩いているだけで楽しいし、おいしいものが大好きなので、いろいろ食べ歩きもしたいです。泊まっているアマン東京のレストランで食べた和牛は、いままで食べたものの中で一番おいしかった。アマン東京は素晴らしいですよ。夢みたい。

S まだオープンしたばかりの話題のホテルですね。うらやましい。東京のあとはどこへ?

K 2月末にNYを出発して、仕事とバケーションを兼ねて、モロッコ、パリ、香港、カンボジアを経て東京に来ました。このあとLAに寄ってからNYに戻ります。長いワールドツアーになってしまいましたが、東京に来てBIOTOPを訪ねることもできたし、素敵な旅になりました。

パンツ¥58,320

Photo/Ittoku Kawasaki Composition/Ayumi Machida

1.61

2014年にデビューしたNYのユニセックスブランド。毎日着られる服=ユニフォームという考え方をベースに、素材や染料、加工、フィット感などにおいてクオリティを追求する。シルエットやバランスにはこだわりが感じられ、トレンドにとらわれない洗練さを湛える注目ブランド。

Interview with

迫村 岳
(BIOTOP ディレクター)

ABOUT BIOTOP PEOPLE

BIOTOPに集まる、ファッション、ビューティ、フード、グリーン、カルチャー…それぞれのジャンルでスペシャリティを持ったクリエーターたち。
彼らのクリエーションの秘密や、いま感じていることに、BIOTOPのディレクター、バイヤーがアプローチします。

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