BIOTOP PEOPLE

No.12
ファッションピープルたちから絶大な支持を得る、
中目黒のヴィンテージショップ「ジャンティーク」。
そこで長年バイヤーを務めた経験と、服が好きでたまらないパッションを生かして
内田文郁さんが2014-15秋冬に立ち上げたブランドが「FUMIKA_UCHIDA」だ。
上級ファッショニスタのエッセンスがぎっしり詰まった秋冬に続き、
春夏コレクションも大注目の「FUMIKA_UCHIDA」にアプローチ。

内田文郁

FUMIKA_UCHIDAデザイナー

「わかってくれる人が好きで着てくれたらうれしい」と文郁さん。BIOTOPのポップアップショップでは、お客様にコーディネート提案もしてくれるそう。

藤井(以下F) 2014年秋冬に初めてコレクションを発表してみていかがでしたか?

内田(以下U) いままで感覚だけで仕事をしてきたんですが、服を作る仕事はそれだけじゃすまされない、もっと厳密に追求しなくてはいけない部分がたくさんあるんだなあ、と改めて自分を見つめ直しています(笑)。

F 最初に拝見したときに、たくさんコーディネートを組まれていましたが、たしかにコーディネートが無限にできそうなアイテムばかり。きっと、こういうふうに着たら素敵だろうなというイメージがたくさんあって、それがふくらんでコレクションが出来上がったのかな、という印象でした。

U はい、そんなかんじです(笑)。ただ、もちろんコーディネートはしやすいほうがいいとは思いますが、上から下まで自分のブランドの服でまとめてほしいとは、まったく思わないんです。むしろ、誰かのスタイルの中にポンと入れていただいて、その人のものにしてほしい。ルックを作ることは伝えるための大事な手法だと思いますが、私が提案するコーディネートが正解ではないし、逆に、違う着方をしてみようかなという人がいたほうが楽しい。作った服が自分から離れて、着る人のものになってほしいんです。

ネックの開き具合、色使いが魅力的なポンチョ¥89,000

F ひとつひとつの完成度が高ければ、どんなコーディネートにもにも合わせやすいですよね。

U そうですね、完成度を上げていかなきゃって思っています。やはり何年後かに思い出してまた着てもらえる服を作りたいんですね。ワンシーズン着たらどうしても飽きるけど、いい服って数年後にまた着たくなる。

F 文郁さんはたくさんヴィンテージを見て、たくさん着てきたからこそ、作っているものにリアリティがあります。学校で服作りを学んだ人とはまた違う、もっと自然にクローゼットの中から涌いてきたような。

U たくさんヴィンテージと接してきて、中途半端なものが捨てられていくのも見てきたから、やはり1点1点こだわって、完成度を上げる努力をしています。

F ジャンティークとして関わっていただいたときも、BIOTOPのために選んでくださったものに、どれも思いや意味がこめられていて、1点1点に対するこだわりを感じました。だから一念発起して自分の服を作ると決めた時は、人一倍覚悟があったのではないでしょうか?

U はい。ジャンティークのときは何百点という洋服を使って、自分の世界観、雰囲気、ニュアンスを表現していたのですが、それを数十点で表現するのはすごく難しいことだと思いました。私はヴィンテージが天職だと感じているので、まさか自分が作るほうにはいかないだろうと、2年前までは思っていたんですよ(笑)。

シルエットの美しいニット¥42,000

F どんなきっかけで作ろうと思ったんですか?

U ジャンティークのオリジナルのデニムを作ったとき、それを買って着てくださる方がいるということにものすごく感動したんです。ヴィンテージみたいに1点しかないというわけでもないのに買ってくれるんですよ? ありがたいなと思いました。ヴィンテージを選ぶのとはまったく違う仕事だけれど、服が好きな人の究極の目標ってデザインなのかも、って思えてきて、なんだかトライしたくなりました。ずいぶん悩みましたが、とにかく私は自分で経験しないと学ばないタイプなんで。

F でも本当にファッションが好きで、ヴィンテージを軸にハイブランドも取り入れて、それを等身大で表現するのが上手。そんな文郁さんのセンスにはファンがいっぱい。文郁さんのスタイルをまねしたいと思っている女性は、文郁さんの作る服を楽しみにしています。

U 昔はブログでさんざんコーディネート提案をしていましたが、あれはアイデアソースなのでいまはやりづらくなりました(笑)。

F やはりそういうことになりますかね(笑)。

U あれが気になる、これが気になるって言いたくて仕方ないんです。でもがまんがまん、って自分に言い聞かせています。それを貯めて形にしてコレクションで発表しなくてはいけないですから。この仕事は本当にがまんの連続ですね。

フェミニニティが際立つハイウエストデニムパンツ¥25,000、コーデュロイ・バギーパンツ¥33,000

F 服を作り始めて一番たいへんなことは何ですか?

U 私はいままで、店頭に並べるところまでひとりでやっていたんですよ。それが服を作る仕事ってたくさんの人が関わっている。人と仕事するのってありがたいけど、たいへんな部分もありますよね。伝えることの難しさを痛感。だからどう言ったらきちんと伝わるかを考えるようになりました。いままで頭使っていなかったなって思ったりもしますが、感覚の部分も大事にしたいので、あまり頭を使いすぎてもよくないかもしれないから、そのバランスをどう取るかがいまの課題です。

F まもなく2回目となる2015年春夏コレクションの発表ですね。

U もうずーっとそのことを考えています。ファッションは点ではなく線なので、常に流れを考えていますね。構想からじっさい納得いくものができるまで、やはり時間をかけて作っていきたいです。

F ヴィンテージをたくさん見てきているから、アイデアのストックはたくさんあるんじゃないですか?

U たしかに好きなものは本当にたくさんあるんです。私はヴィンテージ好きといっても、軍ものだけが好きというタイプではない。レースやシフォンも好きだし、タフな素材も好きだし、何でも受け入れます。確かにイメージのストックはいっぱいあると思うので、あとはそれをどう表現するかですね。実現してくれる工場も探さないといけないし。昔の服ってとてもていねいに時間をかけて作られているので、そういうのを見ちゃうと作業のひとつひとつをきちんと積み上げていかなければと思いますね。

F 服作りは本当にたいへんだけど楽しくないですか?

U まだ楽しめるレベルまでいっていませんね。楽しいから作る、というより、くやしいから作る、というかんじ。自分が感じていることを、もっともっと上手に伝えて形にしたいです。

F 11月2日からBIOTOPでFUMIKA_UCHIDAのポップアップショップを開催しますが、たくさん、本当にすごくたくさんの方が楽しみにしていらっしゃるようで、問い合わせがすごいんです。

U いまひとつ実感ないですが、ありがたいです。期間中ショップにも行こうと思っているので、来てくださる方々と直接お会いするのが楽しみです。

「FUMIKA_UCHIDAの服は、ずっと前からその人が持っていたかのように自然に着こなせる」とバイヤー藤井。ポップアップショップの空間も、文郁さんと相談しながら考えた。

PHOTO/Ittoku Kawasaki COMPOSITION/Ayumi Machida

FUMIKA_UCHIDA

中目黒のヴィンテージショップJANTIQUESのバイヤー内田文郁が、2014年秋冬よりスタートしたブランド。「アイデンティティのある女性のための服」をコンセプトに、ヴィンテージの良さ・クオリティを取り入れ、素材感、長く愛される服を追求している。11/2〜11/16 BIOTOPにてポップアップショップを展開する。

BIOTOP PEOPLE are…

ファッションが好き、コスメが好き、おいしいものが好き、イベントが好き、カルチャーが好き、何より気持ちいい生活が好きという、BIOTOPの森に集まる魅力的な人々のこと。
都会の隠れ家BIOTOPの、クリエイティビティあふれるBIOTOP PEOPLEにアプローチします。

Interview with

藤井 かんな
(BIOTOP レディスバイヤー)

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