BIOTOP PEOPLE

No.19
1886年にスイスで創業されたニットブランドMolli(モリ)は、
優しい肌触りとあたたかみある色のニットが人気。
1950年頃にはベビー服が特に注目されるようになり、
子供の頃お世話になったパリジェンヌも多いという。
2015年に、この歴史あるニットブランドをリローンチさせた
シャルロットに、Molliの魅力の秘密を聞いた。

Charlotte de Fayet

Molli オーナー

シャルロットはパリ生まれの35歳。ダノンでミネラルウォーター、〈エヴィアン〉のマーケティングを、ロレアルで〈シュウウエムラ〉や〈キールズ〉の開発などに携わったのち、2015年Molliを買い取ってリローンチさせた。

梨本(以下N) 初めてMolliのルックを見たとき、BIOTOPにぴったり!と思いました。上品でエレガントで、白金台という土地柄にもあっています。1886年創業の歴史あるブランドを、リローンチしようと思ったきっかけは何だったのですか?

Charlotte(以下C) 自分の子供が生まれたことでMolliの子供服と出会い、そのニットのクオリティに感動して、このブランドを買い取ってもっと広く知ってもらいたいと思いました。最初は子供服が中心だったのですが、本当にクオリティが高いので、自分でも着たくなって大人の女性向けコレクションを本格的に始めました。もともとは女性向けのアンダーウェアから始まって、それからキッズになって、いまは大人の女性向けのものを作っているので、ブランドの歴史としては3回生まれ変わっているんです。どの時代もクオリティの高いニットを作っていることは一貫しています。

来日は2回目、BIOTOPは初めてというシャルロット。「Molliにぴったりな場所。ひとつひとつ丁寧にセレクトされているのを感じる」と言われ、感激するバイヤー梨本。

N 本当にクオリティが高くて、時代に左右されない芯の強さを感じます。背筋を伸ばして気持ち良く着られる強さ、潔さ。それが白金台のお客様に勧めたいと思った一番の理由なんです。その芯の強さって、いったいどこからくるんでしょう?

C  Molliには2つの柱があって、まずひとつはその歴史です。130年という長い歴史の中で、とにかくいい商品を作ることだけを追求してきました。工場やスタイリストも含め、ニットのスペシャリストを集めたドリームチームで、流行に流されずに、ひたすら物作りを続けています。その変わらない姿勢がMolliを支えています。もうひとつは、きちんとマーケティングしていることではないでしょうか。

N シャルロットさんはMolliを始める前は、大企業でマーケティングを担当されていたんですよね?

趣味を聞いたら、「子供たち」と即答。6歳の女の子と3歳の男の子のママで、休みの日は必ず子供たちと過ごすとか。旅行と写真を見るのも好きだそう。

C はい。ビジネススクールを卒業してから、化粧品会社などでマーケティングをしていました。Molliを買い取ったときに思ったのは、歴史を大切にすると同時に、こういうブランドだと皆にわかってもらえるよう、きちんとしたイメージ作りが必要だということでした。それでまず手始めにターゲットとなる女性たちを集めてMolliのイメージを一言で表現してもらいました。皆が共通で言っていたのは「ピュア」「柔らかい」「エレガント」「タイムレス」…などの言葉。そのイメージはきちんと形にしなければと思いました。皆がMolliに求めるものを知り、とことん分析し、それらを元にイメージ作りを徹底しておこなってきた結果、誰が見てもMolliとわかるような、芯のあるイメージ作りができたのだと思います。

N なるほど、マーケットをきちんと調査しているから、揺るぎない強さが生まれるわけですね。イメージだけではなく、きちんとお客様と向き合っている。その上で豊かな感性も落とし込んでいますよね。私はMolliのルックブックがとても好きなんですが、あのビジュアルは可憐さと強さが共存していて、とてもMolliらしいと思います。

2017S/Sのルック。繊細なレース編みのトップスや新技術のレースエフェクトニットを用いたオフショルダーのワンピースなど、デリケートでロマンティックなアイテムが揃う。

C ルックブックを作るときはいつもそうですが、今回も「Molliのニットを着たときの気持ちよさ」を伝えたいと思いました。人にどう見られたいかとかではなく、着ている人が気持ちよければいい。だからMolliを着て気持ちよさを感じている女性をビジュアルにしました。洋服を見せるだけではなく、女性の日常生活を切り取るようなイメージで。

N その気持ちよさが、すごく伝わるルックブックです。今回特に白いニットワンピースのルックが好きで、全身ではなくクローズアップなのも印象的でした。どう見られるかではなく、服を着たときの内側から湧き出る感情は、女性を美しく見せるんだなと感じました。じつは、それで私、そのニットワンピースを買っちゃったんです(笑)。

C 着心地はいかがですか?

N 普段はあまりワンピースを着ないので、今シーズン買った唯一のワンピースです。試着したときの、すっと背筋が伸びるような気持ちよさが忘れられなくて買ったのですが、本当に着ていて気分がいいです。Molliのニットってなんだかほっとする懐かしさがありますね。展示会ではニットのトップスとショートパンツのセットアップが大人気でした。もともと子供服のブランドなのだと説明すると皆「わかる〜」と共感していました。レース編みやちょっとしたディテールが、子供の頃に着ていた服を思い出させるのかも。

C 女性が一生着られるようなニットを作りたいと思っています。若いときはスニーカーをあわせて、年をとったらエレガントに着こなして。年齢に関係なく着られるベーシックなものを、ずっと着続けてほしい。私がいつも付けているリンバンのブレスレットは祖母からもらったものですが、いつか娘に譲ろうと思っています。そんな存在のニットであってほしい。Molliのマーケティングでは、お客様の年齢ではなく生き方に注目します。何歳だからこんな服、とは考えない。こういう生き方をしている人にこんな服はどうだろうと考えます。

N 確かにタイムレスな価値観ってこれからの物作りには、重要なポイントになるんだろうと思います。そして年齢ではなく生き方にあわせて服を考える…本来そうあるべきですよね。

C でもBIOTOPのセレクトをを見ていると、どういう生き方の女性に向けて選んでいるかわかりますよ。年齢を問わず、トレンドにも左右されない自分のおしゃれができる女性をイメージしているのでは?

N うれしいです!その言葉ですごくやる気が出てきました(笑)!

展示会で好評だったニットのトップスとショートパンツのセットアップ。子供の頃に着たような懐かしさに心ときめく。トップス¥34,000、ショートパンツ¥23,000

Photo/Ittoku Kawasaki Composition/Ayumi Machida

Molli

1886年創業のニットブランド。1920年にはニットのアンダーウェアが人気を呼び、1950年にはベビー服が一躍注目を浴びる。2015年にシャルロット・ドゥ・ファイエがブランドを買取りリローンチ、サンジェルマン・デ・プレにショップをオープンさせ、ベビー服だけではなく、大人の女性向けコレクションをスタートさせた。

http://molli.com

BIOTOP PEOPLE are…

BIOTOPで取り扱うアイテムを生み出すクリエイターたちに、ファッションやライフスタイルについてアプローチ。その魅力あふれる世界観に迫ります。

Interview with

梨本友美
(BIOTOPレディスバイヤー)

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